宮花物語
そして日も暮れ、紅梅が神殿から屋敷へ戻ってくると、今日の王の寝所は、紅梅の屋敷だと伝えられた。

「王が……いらっしゃる……」

紅梅は、黄杏から貰った包みを、女人に手渡した。

「この薬草を……煎じて頂戴。」

「畏まりました。」


女人が準備に取り掛かると、紅梅は鏡を見た。

王から寵愛を受けている青蘭も黄杏も、髪はおろしている。

「ねえ、この髪。結って貰っているのを、解いてくれるかしら。」

「はい。」

別な女人が、紅梅の丸く結い上がっている髪を、真っすぐにおろした。

「このままで、よろしいのですか?」

「ええ。このままでいいわ。」


髪をおろしただけで、なんだかいつもの自分と違う気がする紅梅。

席に座ると、丁度夕食が運ばれてきた。

紅梅がいつも髪を結いあげているのは、もちろん武術をやる程活発だからだ。

動く度に髪が邪魔をしていては、思い切り動く事もできない。
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