宮花物語
そしてその弊害は、早速やってきた。

箸で料理を取り分けようとすると、髪が前にやってくる。

何度も何度も、後ろへ搔きわけても、必ず前にやってくる紅梅の髪。

見かねた女人の方が、食事中だと言うのに、紅梅の髪を掴み取った。


「も、申し訳ありません。つい……」

紅梅の髪を掴みながら、頭を下げる女人。

「……いいのよ。そのまま後ろで束ねて頂戴。」

「はい。」

紅梅は諦めて、後ろで髪を一つに、束ねてもらった。

青蘭も黄杏も、あの長い髪をどうしているのだろうか。

疑問はつきない。


「紅梅様。先ほどの薬草を煎じた物を、ご用意いたしました。」

「ああ。」

どんな物なのかと、紅梅が楽しみにしていると、茶碗に注いだ先から、草の匂いがしてくる。

「これが、本当にあの薬草なの?」

「はい。」

一応宮殿育ちの紅梅には、自然の匂い満載の草の匂いは、鼻がひん曲がるくらいに、耐え難い。
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