宮花物語
「紅梅……」

耳元で囁かれ、ゾクッとする紅梅。

いつの間にか、女人もいなくなっている。

「さあ、おいで。」

王は紅梅を、軽々と持ち上げると、寝台へと紅梅を横たわらせた。


「私の子が、欲しいか?紅梅。」

「はい。欲しいです。」

どこか艶っぽくて、体も筋肉で引き締まっている。

誰よりも強い、この王のお子を、紅梅は欲しくてたまらなかった。

「では沢山、愛でなければならないな。」

「あっ……」

返事をする間もない程に、王は紅梅の服を脱がし、その肌を堪能する。

いつもと違う触り方だ。


「王……いつもと違う気が……」

「いつもと一緒だよ……紅梅……」

そう言われても、いつもよりも荒々しい気がする。

そう。

いつもは、よそよそしい。

まるで義務を果たしているかのようだ。

だが今日は、違う。

まるで自分の反応を、楽しんでいるかのようだ。


「王……もう……」
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