宮花物語
そんな黄杏を、青蘭はじっと見つめる。

「……黒音さんに、お祝いの品を差し上げるの?」

黄杏は、お茶を持つ手を止めた。

「そのつもりよ。」


自分のお腹の子が、途中まで順調だったのに、急に流れてしまったのは、青蘭達のお陰で、黒音の差し金だと知った。

だが直接、黒音に何かをされた訳ではない。

黒音が、黒幕だと言う証拠もない。

黙って目を瞑って、知らない振りをするしかなかった。


「お目出度い方……」

「それ、紅梅さんにも言われました。」

嫌味で言ったのに、それすらも受け流す。

青蘭は、はぁっとため息をついた。


「黄杏さんがどうするかは、黄杏さんが決める事だから、何も言わないけれど、お相手がどんな顔をするか、見ものね。」

「それもあるのよ。」

黄杏は、クスッと笑った。

「黄杏さんって……」

「はい?」

「時々、小悪魔に見えるわ。」

見つめ合う黄杏と青蘭。
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