宮花物語
桂花は、首を傾げた。

「もしかしたら、黄杏様がこれを飲んで、お腹のお子が流れてしまったのを、見ているからかしら。」

他の女人が答えた。

「黄杏様が?この薬草で?」

「ええ。桂花様は、黒音様がお妃になってから、この屋敷に来られましたけど、黒音様は元々、黄杏様の筆頭女人だったのですよ。」

「黒音様が、黄杏様の!?」

桂花は、黄杏から届いた妊娠中に着る服と、薬草を見た。


「何でも黄杏様の懐妊中、この薬草を煎じていたのは、黒音様だったとか。」

「そう……」

桂花は目を細めて、その薬草を手に取ってみた。

表面はツルツルしていて、ただの草にしか見えない。

「そなた。この薬草が何なのか、調べてくれはしまいか?」

「は、はい。」

女人は薬草を少し持つと、手ぬぐいに包んで、屋敷の外に出て行った。


こんな物を送りつけて、黄杏様は何を考えているのか。

大人しい見た目なのに、恐ろしい。
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