宮花物語
「きっと、王によく似た皇子でございます。」

「そうか?もしかしたら、黒音によく似た美しい姫かもしれぬぞ。」

すると黒音は、首を横に振った。

「いいえ。産まれてくる赤子は、男の子ですわ。」

あまりにも自信たっぷりに言うものだから、信志もそれを信じてしまう。


信志は微笑みながら、黒音の横に寝そべった。

「……この子が皇子なら、武芸は勇俊に習わせたいな。」

「勇俊?ああ、いつもこの屋敷を警護してくれる、護衛長ですね。」

「ああ。あの男は、信用できる。」

将拓の命を救った勇俊の事は、忠仁を通して、信志の耳にも入っていた。

「……友の命も救ってくれた。その精神を、私の後を継ぐ皇子にも、受け継いでほしいのだ。」

「信寧王様……」


信志は今迄は、具体的にそんな事を考えた事がなかった。

自分の子が産まれてくるなんて、どこか夢物語だと思っていたからだ。
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