宮花物語
信志は毎晩、黒音に腕枕をして眠りについていた。

「日増しに大きくなるな。そなたのお腹は。」

「この中で、お子が育っているのですから、大きくなりましょう。」

信志は黒音のお腹を、触ってみた。

「こんなに大きくなっているのに、動かないのだな。」

信志がお腹の奥を触ろうと、グッと力を入れても、まったく反動もない。

「大人しいお子なのでしょう。」

黒音は、全く無関心だ。

「そういうものか。」

だが信志は、黄杏が懐妊していた時も、毎晩のように泊まって、黄杏のお腹を撫でていた。

同じくらいお腹が大きかったはずだが、黄杏の時は確かに、動いていたはずだ。


「それよりも、お名前など決めておりますか?」

黒音は、信志の首元に顔を埋めて、甘えてくる。

「ああ。女だったらもう、決めているのだが……」

信志がそう言うと、黒音は起き上がり叫んだ。

「絶対、男の子でございます!」
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