宮花物語
「お陰様で、頭が痛くなってきましたわ。お腹のお子に障りがあってはいけないので、これで失礼させて頂きます。」

黒音はそう言うと、頭も下げずに去って行ってしまった。


あまりの光景に、白蓮付きの女人達は皆、ため息をつく。

「大変なお方を、信寧王様はお妃に迎えられましたね。」

「よいのです。まだ、自覚がないだけでしょう。」

そう言うと、白蓮は一人自分の部屋へと、向かっていく。


正妃の自分を差し置いて、自分が国母だと言う妃が現れる事は、子を産む事を、諦めた時から覚悟はしていた。

それも青蘭や紅梅のような、王宮で育った妃よりも、黄杏や黒音と言った庶民出身の妃達が危うい事も。

但し、ここまではっきりと、面と向かって言葉に出すなど、有り得ない。

妃達の中でも、一番新参者のくせに、何様だと思っているのか。

白蓮は、久しぶりに怒りで、体が震えそうになったが、そうならず冷静でいられたのは、自分がどうあがいても、国母になれないと言う悲しさからだった。
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