宮花物語
その日の夕食は、白蓮にとって辛いものになった。

年若い妃達なら、今日あの人に、こんな事を言われたと、可愛らしく言えるのだろうが、もう少しで40にもなる自分が、何を言っても恨みにしか聞こえない。

「どうかしたのか?白蓮。」

たまりかねて、信志の方から尋ねた。

「いいえ、何も……」

信志は、白蓮の顔色を図る。

俯いて、冴えない表情。


「昔から、あなたはそうだった。」

突然の王からの敬語に、白蓮は箸が止まる。

「どうしたのです?急にそのような、言葉使いをされるなんて。」

そこでも、冷静に切り返す白蓮。

だが返って、信志は箸を置いてしまった。

何事もないように、白蓮も箸を置く。

それは、幼い頃から夫が箸を置けば、自分も箸を置く事と言う、お妃教育によるものだった。

全くお妃教育を受けていない黒音に対して、白蓮が受けた教え、教育は全て、王の正妃になる為のものだった。
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