宮花物語
だが兄は、まだ若い時に病気で、この世を去った。

そこで2番目の皇子である信志が、皇太子になり、白蓮がそのまま皇太子妃になったのだ。

もし兄が生きていて、白蓮がそのまま兄の正妃なっていれば、信志は同年代の別な王女と結婚していたはずだ。

「兄が亡くなってしまった以上、確かめようもないけれどね。いつか私の妻になってよかったと、言って貰える日がくるとよいのだが。」

そう言って信志は、また寂しそうに笑う。

「さあ、食べようか。あなたも、食べ足りないでしょう。」

信志は再び箸を持つと、目の前にあった料理を、白蓮に取り分けた。


だが白蓮は箸を付けずに、静かに涙を流している。

「白蓮?」

顔を覗き込むと、白蓮はそれをすり抜けて、自分の懐の中に入ってきた。

「王に兄上様がいたなんて、初めて聞きました。」

「えっ?」

「もしかしたら、私に紹介する前に、兄上様は亡くなったのかもしれません。でも、私の中で結婚する相手は、あなたお一人でした。」
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