宮花物語
「あの……そろそろ、黒音の元へ行かれる時間かと……」

「ああ、今日は黒音の元へ行かぬ。」

「では、どの妃の元へ?」

純真に尋ねる白蓮に、信志はポツリと呟く。

「ここに決まっているだろう。」

「えっ?」

そっと後ろを向いた信志は、手を伸ばした。


「今夜は、あなたの元へいる。さあ、おいで。」

この人だと、心に決めた人が、自分に手を差し伸べている。

白蓮は、吸い込まれるように、その腕の中に、身を寄せた。

「いつ見ても、あなたは美しい……」

唇を重ね舌を絡ませると、信志は白蓮の髪をほどき、着ている服も少しずつ脱がせた。

だが部屋の灯りは、まだ着いている。

「灯りを……」

「今日はこのままで……私は、白蓮の雪のような肌を見るのが、好きでたまらないんだ。」


兄のモノだと思っていた人が、自分の腕の中で、甘い声をあげている。

激しくぶつかり合う欲情に、最初に悲鳴をあげたのは、白蓮の方だった。
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