宮花物語
何かをブツブツ呟いている白蓮を、不思議に思った信志は、気づかれないように白蓮の隣に座った。

「どうした?白蓮?」

信志は顔を近づけ、耳をすませた。

「……産まれる。跡継ぎが……産まれる……」

信志はなぜか恐ろしくなって、白蓮から離れた。

何かに憑りつかれたように、それだけを繰り返す白蓮。


まさかこの前の夜の事で、白蓮は気がふれてしまったのか。

結婚して、30年近くになると言うのに、子供が生まれた二人。

急に自分との子が欲しいと言われて、逆に思い余ってしまったのだろうか。

信志は急に、白蓮が哀れに思えて、後ろから抱きしめた。

「えっ?王?」

それを機に、正気に戻った白蓮。

「どうされたのですか?」

「どうしたのかって……夕食になっても、そなたが現れないから、こうして様子を見に参ったのだ。」

「ああ……そんな時間に……?」

白蓮は長い時間、跡継ぎの事を考えていた自分が、恥ずかしくなった。
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