宮花物語
こんな思いつめた白蓮の姿を、信志は見るのが初めてだった。

「白蓮。この前私がそなたとの子が欲しいと言った事……それ程に負担になるのなら、撤回しよう。」

白蓮は驚いて、後ろを振り返った。

「子を産まなくても、あなたは私の妻である事に、変わりはないのだから気に病む事はない。」

信志はそう言うと、白蓮から離れた。

「ち、違うのです!」

慌てて伸ばした白蓮の手は、信志の袖を掴んだ。


「それが……今日、不思議な老人にお会いして……」

「不思議とは?」

「その……私が産まれた時に、私が王妃になる事を知っていたとか……」

信志は、自分の袖から白蓮の手を取ると、また白蓮の隣に座った。

「王の……兄君様の事も、知っていらっしゃいました。とても聡明な方だったと。」

「兄君の事も?」

信志は、顎に手を置き、何かを考えた。

「兄君の事や、白蓮が産まれた時の事を知っているとなると、相当古い家臣なのだろうか。」
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