宮花物語
部屋に戻ると、信志が手を広げて待っていた。

「どうだった?黒音の様子は?」

「ええ。何も……」

だが白蓮は、浮かない顔だ。

「何かあれば、直ぐに誰かが知らせてくれる。それまで、ここで静かに見守っていよう。」

信志の瞳が、優しく白蓮を見つめる。


「……先ほどの老人に、言われました。」

「なんと?」

「私は元々、信志様の妃になる者だったと。」

「元から?それでは白蓮は、王妃にはなれなかったというのか?」

「いいえ。最初から決まっていたのです。兄君様が亡くなり、あなた様が王になる事も。あなた様と結婚して、私が王妃になる事も。」

信志と白蓮は、お互いを見つめた。


「私達がこうなる事は、運命だったという事か……」

白蓮は、ゴクンと息を飲んだ。

跡継ぎは、必ず産まれると言う事を伝えるのは、今を置いて他にないと。


「そして……その老人は、こうも言っていました。」

「ん?」

「王に……跡継ぎは、必ず産まれると……」
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