宮花物語
一方、診察室に入った信志は、全身のたうち回りながら、うんうん唸っている黒音の手を取った。

「黒音、しっかりしろ!」

だが黒音の元の耳には、自分の声すら届いていないようだ。

「黒音……」

なぜこのように、苦しまなければならないのか。

信志の目には、いつの間にか、涙が溜まっていた。


「……王、泣かないでください。」

黒音が、薄っすらと目を開けていた。

「黒音!」

「この子は、手放す事になりましたが、次は必ず……必ず……うっうううううう!」

のたうち回る黒音を見て、医師はまた白蓮の元へ、駆け寄った。

「白蓮様!これ以上は、無理です!」

「えっ?」

「黒音様の処置を中止しなければ、命が危のうございます。」

白蓮は、急いで処置室に入った。

中では黒音が、激しいお腹の痛みに、体をばたつかせている。
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