宮花物語
それから黒音の喪が続き、信志は夕食を、第2妃の青蘭と摂るようになった。

信志はまだ子供の頃に、白蓮と結婚して以来、夕食はずっと白蓮と一緒だったせいか、どこかソワソワしている様子だった。

「……白蓮様と、喧嘩でもなさったのですか?」

青蘭は、夕食の料理を取り分けると、何となく信志に聞いていた。

「喧嘩ではない。あの者の名前を、もう出すな。」

何があっても、正妃・白蓮の事だけは、敬ってきただけに、この言葉は、青蘭にとっても心に引っ掛るものになった。


一方では、白蓮は部屋で伏せっていて、食事もろくに摂れず、体も細くなったと噂に聞く。

青蘭達には、黒音は子供を流産した際に、命を落としたと聞いたが、それと関りがあるのかと、青蘭は何となく思った。


「……今宵は、どのお妃の元へ行かれるのです?」

青蘭は、取り分けたお皿を、信志の前に置いた。

「しばらくは、紅梅や黄杏の元へは行かぬ。黒音の喪は、まだ続いているからな。」
< 373 / 438 >

この作品をシェア

pagetop