宮花物語
「紅梅だ。」

「まあ!紅梅なの!」

白蓮は頬に両手を当てて、喜んだ。

「それは忠仁も、喜んでいることでしょう。」

「そうだな。」

そして白蓮は途端に、ソワソワしだした。


「お祝いの品は、どうしたらいいかしら。黄杏の時は産着でしたし、黒音の時は……」

信志は、白蓮を抱き寄せた。

「同じ品でよい。皆、白蓮からのお祝いの品を、心から喜んでいた。」

「そうでしたの?ああ、よかった。」

自分の事のように、紅梅の懐妊を喜ぶ白蓮を、信志は愛おしそうに、見つめた。


「そなたは……私との結婚は、運命だったと言ったね。」

「えっ……は、はい。」

急に思い出し、頬を赤くする白蓮。

「今は、その運命に感謝する。白蓮が、私の妻で本当によかった。」

「王……」

白蓮の顔が、信志の胸にうずまった瞬間、二人のわだかまりは解けた気がした。

「だから白蓮も、早くよくならなければ。」

「はい。」
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