宮花物語
「全く……私の妃達はなぜこうも、私が通う場所を勝手に決めようとするのだ。」

「も、申し訳ございません!」

紅梅は、慌てて謝る。

「黄杏の元へ通えと申すが、そなたの元を訪れたい時は、どうしろと言うのだ。我慢しろと言うのか?この私に?」

「えっ!あっ、いえ……その……」

困りながら、半分嬉しそうに照れる紅梅を見ていると、信志は紅梅もまた、愛おしいと思うのだ。

「黄杏の元も行く。だがそなたの元へも参る。紅梅も、紅梅のお腹の子も、跡継ぎが産まれる事と同じくらい、大切だからな。」

信志は、紅梅の肩を軽く叩こうとして、思いとどまった。

「……どうしたのですか?」

紅梅が、大きな瞳で信志を見つめる。

「いや……これからは、こうしなければな。」

そう言うと、紅梅の肩をそっと抱き寄せた。

「信寧王様……」

紅梅が信志の胸に、体を預ける。

王にとって自分はずっと、部下のような存在だと思っていた。
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