宮花物語
子はかすがいだと言うけれど、こんなにも移ろ気な方を、自分の元へ引き留めておけるとは。

紅梅は、嬉しいどころか怪しくも感じていた。


ある日。

紅梅が大きなお腹を抱えて、外へと出ると、そこには花の手入れをする黄杏の姿があった。

こんな姿、見せる事はできない。

黄杏の子が流れたのは、この頃だから、ふとした事で思い出してしまうかも。

紅梅は黄杏に声を掛けずに、神殿へと行こうとした。

「あら、紅梅さん。」

だが幸か不幸か、黄杏から声を掛けられてしまった。

「お腹、大きくなりましたね。」

ここまで言われると、無視する事もできない。

紅梅は、ゆっくりと後ろを振り返った。


「……お元気そうね、黄杏さん。」

「紅梅さんも。」

手に綺麗な花を持っている黄杏は、なぜか和やかな雰囲気を醸し出している。

「なんだか黄杏さん。王が来なくても、大丈夫そうね。」

「そうなの。」

黄杏は頬に手を当て、突然困った顔をした。
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