宮花物語
「少し前までは、王がいらっしゃらないと、胸が潰れそうになるくらい悲しくて、眠れない時もあったのに。最近、王がおられない方が当たり前になってしまって……寂しくもならないなんて、一体どうしてしまったのかしら。」

紅梅は、口をあんぐりと開けてしまった。

王がいらっしゃらないと、胸が潰れてしまう?

そんな可愛いこと、自分は一度も思った事がない。

しかも、しばらく王がお訪ねにならないのなら、それはそれで、他の妃とよろしくやってるんでしょうよと、半ば諦めの気持ちも生まれると言うのに。

寂しくならない事が、おかしい?

紅梅は、ため息をついた。


「紅梅さん?」

「あなたには、つくづく負けたわ。」

「えっ?」

黄杏は、首を傾げている。

「どちらかと言えば、私が紅梅さんに負けたような気がするけれど。」

「ああ、なに?私の方が、先にお子が産まれるから?」

「はい。」

真面目に答える黄杏に、紅梅は白目を向く。
< 393 / 438 >

この作品をシェア

pagetop