宮花物語
「そう……ですね。」

黄杏は、度々襲ってくる耐えがたい痛みに、何とか耐えていた。

「うー……」

「ああ、そうやって声を出して、耐えておれ。産むには、もう少し時間がかかるんでな。」

産婆はそう言うと、窓のから外を眺めている。

「陽も落ちてきてか。産むのは、明日になりそうだ。」

「明日……」

黄杏は、この苦しみが明日まで続くかと思うと、気が遠くなりそうだった。

「黄杏様……」

そんな黄杏に、女人が手を伸ばした時だ。

「ああ、いい。眠れるんだって、寝ておきんさい。じゃなければ明日産む時の体力が、無くなってしまうでな。」

あくまで、産婆は冷静だ。


その時だ。

公務を終えた信志が、黄杏の元を訪れた。

「黄杏、陣痛がきたと聞いた。」

「信志様。」

黄杏が手を差し出すと、信志はその手を握る。

「ほほう。」

その様子を産婆が見て、にこにこ微笑みだした。

「仲がよろしいこと。でも、王ができることは、ありませぬ。」
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