宮花物語
せっかくのいい場面を、信志は邪魔されたようで、機嫌が悪い。

「何もできぬとは……励ますくらいはできるだろう。」

「確かにそうでありますね。」

そう言うと産婆は、少し後ろへ下がった。


しばらくして、黄杏はまた唸りだした。

「うぅぅ……ううう!」

「黄杏、しっかりしろ!」

すると産婆は、黄杏の腰を摩り始めた。

「こうすると、少しは痛みが和らぐのですよ、王。」

「ああ、そうか。」

信志は、産婆に言われた通り、黄杏の腰を撫でた。

「まだ産まれぬのか?」

「はっはー!そう、焦らさんな。産まれるのは、明日でございますじゃ。」

「明日!」

信志も黄杏と同じように、力が抜ける感じがした。

「そう簡単に、人は産まれんじゃて。おう、そうじゃ。王の母君もそうじゃった。」

信志は、産婆の方を見た。

「私の、母君?」

「ああ。王の母君・雪賢様は、王族の産まれでのう。白蓮様と同じように、この王宮でお生まれなさった。」
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