宮花物語
「知ってるも何も、我が産婆になって、初めて取り上げた御子様じゃ。」
シワシワの顔の産婆が、急に若い、初々しい産婆に見えた。
「先輩の産婆と共に、初めて人が産まれるのを見た。珠のように美しい姫君でのう。だが王族の中でも身分が低く、体が弱かった故、臣下へ嫁に出されるはずじゃった。」
産婆は、どこか一点を見つめている。
恐らく美しく成長した、母・雪賢を思い出しているのだろう。
「だが王の父君は、そのお美しい雪賢様を、見逃しはしなかった。周囲の反対を押し切って、お妃様に迎えた。次にお会いしたのは、雪賢様の出産の時じゃった。あの御子様が、今度は御子を産むのかと、胸が熱くなった。」
産婆は黄杏に、その雪賢を写しているようだった。
「あの方も、王をお産みなさるのに、2日ばかりかかった。もしかしたら、黄杏様も次代の王を、お産みなさるのかもしれぬな。」