宮花物語
夜明け頃、黄杏は唸りに唸った。

痛みに合わせて、お腹に力を入れる。

「もう少し!もう少し!」

産婆も一緒に、唸ってくれる。


黄杏が窓の外を見ると、いつもの夜明けより、明るく感じる。

「光……」

「え?」

産婆が、ちらっと黄杏を見た。

「……光が見えます。」

黄杏がそう呟くと、産婆の手の中に、御子がするりと降りてきた。


「おぎゃああああああ!」

元気になく赤子が産まれた。

「御生まれなさった……」

産婆は、産着に包んだ赤子を、天高く掲げた。

「皇子が御生まれなさった!次代の王の誕生じゃあ!」


産婆のその言葉に、隣の部屋にいた信志は、思わず両手で手を覆った。

「産まれたか……遂に産まれたか……」

顔を覆った両手の間から、大粒の涙が零れ落ちる。

「おめでとうございます!」

女人達も、屋敷の外で待機していた家臣達も、揃って皇子の誕生に、飛び跳ねる程喜んだ。
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