宮花物語
そして産まれたのが、今の王・信志だ。

「……雪賢様。あなたの命を懸けた想いが、今又、実を結びましたぞ。」

忠仁は、涙を拭った。


そしてもう一人、命を懸けた者が、この屋敷には住んでいた。

黄杏の兄、将拓だ。

家族に忠仁から受けた話をし、一家で忠仁の家に、引っ越してきたのだ。


「おはようございます、父上様。」

そう、将拓は忠仁の養子になっていた。

「ああ、将拓。おはよう。喜べ、黄杏様に御子が産まれたぞ。」

「それはよかった。母子共に、健康でございましたか?」

忠仁は、将拓の前に腰を降ろした。

「ああ、元気だ。お妃様も皇子様も。」

「えっ?」

将拓は、目を大きく開いた。

「皇子をお産みなさった。そなたの妹君は。」

その瞬間、将拓の目から、大粒の涙が零れ落ちた。

「ああ……忠仁様、有難うございます。」

「私に礼を言うか。」

「はい。忠仁様がいらっしゃらなかったら、この時を迎える事は、できませんでした。」
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