宮花物語
信志は紛れもなく、この国を作った一族であり、この国で唯一無二の人なのだ。

「どうした?」

その人が、自分に優しく微笑んでくれる。

「……いいえ。」

それだけで黄杏の胸は、嬉しさにうち震えた。


そんな二人の後ろへ、忠仁が膝を着いた。

「黄杏様。あなた様のお部屋を、案内させます。」

「私の部屋?」

「王の妃になられる方には、お一人ずつお部屋が、与えられるのです。」

「はぁ……」

実家では、女一人だったから、まだ一人部屋だったが、男兄弟は、兄の将拓が学校に通う為に、家を出るまでは、二人とも同じ部屋で過ごした。

まさか、何人もお妃がいる中で、一人部屋を与えられるなんて、田舎の村から出てきた黄杏には、その意味すら分からなかった。


案内されたのは、宮殿の奥にある、北側の屋敷だった。

綺麗な白壁の建物が、いくつもいくつも並んでいた。

その中で、一際大きくて、真っ白い建物が、一番奥にあった。
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