宮花物語
信志と黄杏が唇を交わすと、後ろにいた女人から、ひゃっと言う声が聞こえる。

「ではまた、後で。」

「はい。」

信志は黄杏を残すと、湯船からあがった。

背中に程よい筋肉が付いていて、その体つきの良い事。

黄杏は月明かりでしか、紳士の体を見た事がなかったから、その体つきを明るい場所で見て、あの肉質のいい体で抱かれているのかと思うと、改めて恥ずかしく思うのだった。

「黄杏様。少し逆上せているのでは?」

黒音が、湯船の中の黄杏に、話しかける。

「お顔が、赤くなっていらっしゃいます。」

「ああ……」

本当は信志の体を見て、ちょっと恥ずかしくなったのだが、皆に心配をかける事もできず、湯船からあがった。


その後も脱衣所で、黄杏の体を拭くのは女人と、至れり尽くせりだった。

自分の服に着替え、部屋に戻ると、式に出席する為の、絢爛豪華な衣装に着替える。

鏡を見ながら、妃になると言うのは、こう言う事なのだと、黄杏は見に染みて思った。
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