キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。



驚いた表情をした理香子ちゃんが「だから今朝、ふたりで遅れて来てたのか」と、ひとりで納得した。



「隼人はすぐ信じたの?」

「うん」

「そっか」

「私、もう一度死のうと思ったんだ。そしたら美樹ちゃんも元の身体に戻るかなって。でも、隼人くんが優しく止めてくれたの……」



死ぬことを止めてくれた。名前を、呼んでくれた。私の手を取った彼の手は、とても暖かく、繊細で綺麗な手をしていた。


魔法使いの手だった。私の心にまで、魔法をかけたのだと思うんだ。
最後の一ヶ月半、生きてみようって、そう思わせてくれたから。



「……恋、してるの?」

「へ⁉︎」

「だってゆりちゃんの顔、とろーんとしてるよ?」



……と、とろーんって?


驚きすぎた私の心拍数が急上昇する。顔の中心に向かって熱が集合しだした。耳まで熱い。自分でも自分の顔が赤くなっていることが、わかる。


その様子を理香子ちゃんに見られたらしく、彼女は大笑いしている。



「もしかして、初恋?」

「恋とか……そ、そんなんじゃないよ……っ」

「じゃあなに?」



ズン、と、彼女の顔が近づいてくる。私はまばたきを繰り返して、真っ白になりそうな頭で考えた。


えと、えと、なんだろう?



「命の……恩人?」



漏れた言葉。間違いではないはずなのに、まだ他に適切な言葉があるような気がしてモヤモヤした。



「本当にそれだけ?好きじゃないの?」

「うん……でも、恋したことないから、わかんない」

「ふぅーん」



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