キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


幸せは私には似合わないのだと思っていた。
けれど違う。受け止め方がわからなかっただけだ。


──私は、今、幸せだ。
そう、心の中で呟いて、笑えばいいだけの話だった。


素直に笑えなかった。笑うことができなかった。心が固まって、自由がきかなかった。
けれどそれがほぐれて、笑えるようになった。


笑えないまま、消えなくてよかったのかもしれない。



***



「よし、行こう」

「うん」



昼休みになり、私と理香子ちゃんは学校を抜け出した。
先生たちに怒られるのは、百も承知の行動だ。そんなことよりも、美樹ちゃんの行方のほうが大事に違いない。


隼人くんからは「気をつけてね」と、こっそりかばんを持ったとき、察知してくれたのか、声をかけてくれた。深く頷いて教室を出たのは十五分ほど前の話。


田舎道を行き、電車に揺られた。
無人駅を利用するのは、初めてだった。
切符を買うのは機械だったが、帰りの切符は機械ではなく、設置されていたボロい木箱に入れるらしい。理香子ちゃんに教えてもらった。



「美樹、大丈夫かな……」



誰もいない車両。私と理香子ちゃんで貸切状態だ。
不安げな表情を浮かべて、理香子ちゃんが俯いている。



「どうだろ……」



こういうとき、元気づけられる台詞を言ってあげられたらいいのだけど。
でも、「大丈夫」だなんて適当なことも言いたくない。


行って確かめないことには、なにもわからない。



「あ、そうだ。はい、これ」



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