キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
ただ、いじめがない人生を歩みたかっただけなんだ。それは、高望みしすぎ?そんなに、難易度が高いこと?
「ねね、ハンバーガー食べに行かない?」
「賛成。私、ポテト食べたーい」
そんな会話を繰り広げながら、私の目の前をその子たちが通り過ぎて行った。
身体の力が抜ける。緊張が解けた。と、思った瞬間だった。
「あいつ今日もマジできもかったよね」
「なんでこんなに毎日いじめてんのに学校来るんだろう?ドエム?」
「同じ空気吸うのも嫌なんだけど」
聞き覚えのある声。笑い、声。
こんなに太陽が頭上で燦燦としているのに、悪寒がした。
吐いてばかりで、息が吸えない。
……それは、私をいじめてきていた女の子たち三人組みの声だった。
門から出てきて私たちの前を通るとき、リーダー格だった坂本杏梨が私たちの方を見た。目が、あった。
時が止まったかと、思った。
けれど次の瞬間にはその三人組みは何事もなかったかのように歩き去って行った。
一秒が、とてつもなく長く重く感じた。
「……っ……」
いじめ、られなかった……。
美樹ちゃんの姿をしているから、当たり前のことなのに、安堵している自分がいた。
口内も喉もいっきに乾いてしまった。
先ほど理香子ちゃんにもらった水の残りを飲み干した。
「ゆりちゃん来た?」
「……ううん、まだ」
物腰の柔らかな理香子ちゃんの声に耳が癒されて、硬直していた心がほぐれていく。
返事をすると、また、帰宅していく生徒たちを凝視して見送った。