キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


これ……今日のことだっけ?


記憶を遡ってみるけれど、思い出せない。だけど、行ってみる価値はある。



「理香子ちゃん、ついてきて」

「うん……っ」



踵を返してきた道を行く。
一階に降りて、渡り廊下を歩く。
もう物置としてしか使用されていない旧校舎に着くと、一番奥まで向かう。


ここが使われなくなったのはもう何年も前の話だと聞いた。廊下にまで荷物が溢れかえっている。
掃除もほとんどされていないからか、すこし歩くと埃っぽく、薄暗いから不気味にも感じる。


だんだん一番奥に近づくにつれ、女の子のすすり泣くような声が聞こえて固唾を飲んだ。



「まさか……幽霊?」



後ろにいる理香子ちゃんは怯えたように私の制服の裾を掴んでいる。
幽霊……か。あながち間違いではないかもしれない。


一番奥の教室の扉を見る。開けさせないようにしてあるのか、扉にはほうきが引っかけるように設置されてあり、簡単に外れないようにか、ガムテープで頑丈に固定されていた。


……覚えてる。次の日の朝、閉じ込めてきた女の子の集団が来るまで誰も助けにきてくれなかった。


「まだここにいたの?きっもッ!」
「ってことは風呂にも入ってないよね?きたねぇー!」
「くっさ!」



覚えてる。浴びせられた言葉も、軽蔑の視線も。


まさか、今日だったなんて。
いじめが過酷すぎて、何日の出来事かも覚えていなかった。


< 74 / 145 >

この作品をシェア

pagetop