烏丸陽佑のユウウツ
いい歳、というのは、情熱的になるには、もう遅い年齢という事か…。
好きな女性とは、落ち着いて穏やかに...解り合えて惹かれ合えたら……。と、思っていたが、何を...デリケートにロマンチックな事を...。似合わない。
帰って来るの、早過ぎたな。まだあっちに行ったきり、居れば良かった。
俺が居なくても店が回らない訳じゃない。
急に何もしたくない気分だ。カウンターを拭き終わって完全にやる気が抜け落ちた。
「すまんが、上がってもいいか?」
隣に居た従業員に力無く告げていた。
「はい、え?どうしたんです?具合でも悪いんじゃ...」
「...そんなところだ」
「え゙?じゃあ早く上がってください。大丈夫です。店の事は心配しないでください」
「はぁ...もしかしたら、暫く休むかも知れない」
「え?そんなに悪いんですか?」
「...はぁ、いや、そんな事ではないんだが…。まあ、連絡は取れるから、いつでもしてくれて構わない。仕入れの事とかはこっちでしておくから。すまん、頼む」
「あ、はい、解りました」
返事はしていても、俺の言ってる事がよく解らなくて対処に困ってる感じだろ。
「じゃあ、悪いな」
「いえ、疲れてるんですよ、ほぼ休みなしでずっとして来た訳じゃないですか。何となくだって疲れが出る事があります。ゆっくり気を休めてください。病は気からとも言います。何でも、思い立ったが吉日と言いますから」
「本当、最近、立て続けに気まぐれな事ばかりして悪いな」
「いいえ。たまの事じゃないですか。店は大丈夫ですから。店長目当てのお客さんは来てがっかりするとは思いますが。そこはフルにカバーしますから大丈夫です。お大事にしてください」
「…悪いな、有り難う」
無様なもんだな。大の大人が。どんな理由でサボってるんだ。こんなだらしない俺に気を遣わせてしまった。
はぁ…、気を抜いたら、悪くもないのに、もう身体が怠くなって来た気もする。はぁ、怠いな…何だかしんどいな…。
着替えもそこそこに店を出て、部屋に帰り着いた俺は、ソファーに倒れ込んで動かなかった。