烏丸陽佑のユウウツ


【俺の部屋なら、提供する事は簡単なんだ。俺は店の裏に居ればいいだけだから】

そういう風に出来る事情を知っていても希望しなかったんだ。もう、何でも甘える相手でもなくなったって訳だよ。これで黒埼君だって解るだろ。

【陽佑さん、部屋は一体いくつあるんです?】

あ、…。

【大した話じゃない。普段暮らしているマンションの他に、今居るところがある。それから、バーの裏手に寝泊まり出来る程度の部屋があるんだ。その部屋が、黒埼君が梨薫ちゃんの部屋に泊まっていた時、梨薫ちゃんが使っていた部屋だ】

【え、じゃあ、陽佑さんの部屋で一緒じゃなかったんですか】

【当たり前だ。俺は誰かさんとは違う。気持ちと状況は分ける】

…。

【梨薫さん、今までは何でも陽佑さんだったのに】

…はぁ…中々、チクリと嫌味な駄目押ししてくるじゃないか。

【だから、言って来なかったんだから仕方ないだろ?そういうことだ】

人に言われると、尚の事、遠いところに行ってしまった気になるな。手の届かない遠いところだ。

【毎晩、部長の部屋に押しかけましょうか】

…また…何を言ってる…。

【一人で行ってくれ。俺は夜通し仕事だ。そうだ、部長さんのところで合宿しろよ】

【そんな…無理です。直ぐ冷めた事言う…冷たいんだから…】

【じゃあ、心配ならホテルにでも滞在させればいいじゃないか黒埼君の金で】

【一月なんて…無理です】

【あのな、金は掛かっても、梨薫ちゃんだってウィークリーマンション、借りれるはずだし、そもそもだ。マンション側の都合なんだから、そういった面は負担してくれるはずだし、暫くの部屋は用意して貰えてるはずだけどな?】

【あ、そうですよね。じゃあ、何故梨薫さんは部長のところに】

【それが一番良かったからだろ】

他に何がある。

【そんなぁ…。それって…陽佑さんに言われたら、俺、やっぱり決定打なんだって気になってきます】

ふぅ…。例えば…部長のところに行く事を俺への当てつけだと取るのは、痴がましい考え方なんだろ?それは間違った深読みって事なんだろ?
大体、そんな事をしたら部長の好きを利用した事になる。そんな事をして気まずくなったら、部長とは始められなくなるんだぞ?…。だから、当てつけとは違うんだ。望んでなんだよ。
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