烏丸陽佑のユウウツ
「なるようになるさ。下衆な言い方をしてるんじゃない。梨薫ちゃん次第でって事でだ。
黒埼君だって、押し倒した事があるんだろ?部長さんも、自分の部屋だって思ったら…。そこは。
…自分のテリトリーだ」
「あ、何です、そんな含んだように話を切って。そんな想像をしたらきりがないじゃないですか」
「…いや、今は、生活していてどんなハプニングが起こっても、何もしないと思うぞ。そこはグッと男の辛抱だ。
誠実であるかどうか、大事なポイントだと思う。
黒埼君なら出来る事、許される事、部長さんにはそれは簡単には出来ない、きついと思う。
未遂なんて出来ないし、そもそもそんな行動をしたら…未遂にはならない。そこは…踏み込んだ時は、最後までだ」
だから、簡単にはいかないんだ。…だから大丈夫なんだよ。
「はぁ、陽佑さ〜ん…交代で邪魔しましょうよ〜」
…フ、…またそんな事言って。電話でもするって言うつもりか。
「ピンポンしに行きましょうよ」
ピンポン?…子供か…。
「出てくれるのも一回だけじゃないのか?姿を確認したら呆れて無視されるだけだぞ?
部屋、知ってるのか?」
「…知りません、住んでるところも知りません」
「フ。じゃあ、最初から出来ない話じゃないか。
尾行でもするか?」
「…はい、いいえ…はぁ……引っ越すって…荷物の整理をし始めたら…どうしたら…」
伏せ込んだ。
「何だ、急にどうした」
「…ヤバいんです」
伏せたまま横を向いた。
「何がだ」
「一々中まで確認はしないかも知れないけど、まずい物があるんです」
「何の事だ。ちっとも話が見えない。梨薫ちゃんが引っ越ししたらって事か?」
「はい。物の片付けをするでしょ?ただ纏めて荷造りするだけなら気がつかないと思うんですけど。でも、ふと中身がなんだったか確認したら…見つけてしまうかも知れないんです…DVD…」
「黒埼君の忘れ物か?…何だ…そっち系の物でも置きっぱなしにしたのか?なら大変だ。
見つけて中身を確認されたらヤバいよな」
「違いますよ…。そんな物はパッケージでバレますから。それは始めから無いです。
…そうじゃなくて、兄貴の遺書のような…梨薫さんへ話し掛けているDVDの事なんです」