烏丸陽佑のユウウツ


「これからは、話す事はもう、黒埼君の悩み事とか、上手くいっただとか、そんな話だけにしてくれ。……はぁ、…すまないな、溜め息なんて」

「いいえ、別に溜め息くらい、いいです。そんな気は遣わなくて大丈夫ですから。
しつこく突っ掛かるような事を言ってすみませんでした。俺も俺で、自分に苛ついてるんです。……多分。全然進まないから。だから、陽佑さんに置き換えようとして…。仲良しのクラスメートじゃないんですよ…。どんなに自然体で居てくれても、好きなら好きだって言われたい。好きなら俺を求めて欲しいんです」

そうだ、男と女の好きとはこの熱だよな。

「あ゙ーもう…。その癖、攻めるタイミングをあぐねいている…情けないんですよ、本当、俺。欲はあるのに結局失いたくないから。全然思い切った攻めが出来ない」

…。

「仕方ないな。行動を起こすのも、どう思うかも、自分でするものだからな」

「…はい。でも俺…梨薫さんちに通います、そうします。それは俺にしか出来ない事だから。遅い時間にならないと来れない人とは違うから」

「…そうだな。でもどうする?一緒に居るところに連絡が来て、ちょっと出て来るとか、帰ってって帰されたら」

「あ、それは、…そういう事です。はっきりするじゃないですか」

「そうだな」

「そもそも、毎回、部屋に上げてくれる訳がない…」

「そうだな」

「あ、…もう。…でもいいんです。そんな事をし続けるのが俺なんです」

「引っ越しはしないのかな」

「え?あー、どうなんでしょうか。中々、条件に合うところ、急には無いですからね」

…そうだな。

「今から年末にかけてなら人の動きはあるかも知れないですね。慌てず取り敢えず押さえておけば、家賃は無駄になっても落ち着いてから引っ越すって手もあるし」

「結局、DVDの件は見つけられてないんだろ?部長さんの部屋に本格的に引っ越ししなかったから」

「はい。こんな物があったとかは言われてないです。前にも言いましたが、出来事全てを聞かされる訳では無いと思うので、解りませんが」

妙に口数が少なくなって鈍よりしている様子も無いって事か…。解りやすいからな、梨薫ちゃんは。
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