烏丸陽佑のユウウツ


「え?じゃあ、出た時も来た時も、俺、入れ違い?」

「ほぼそんな感じかな」

まさか黒埼君の動向を見て避けた訳でもないだろう。全くの偶然といったところだろう。

「花束は...」

「俺じゃないぞ。持って来てた」

「ですよね、やっぱり...部長と会ってたのか...」

「まあ、クリスマスの予定が見事に飛んだし、会うはずだったモノが無くなったら...会えるようになったら会いたかっただろうし、な」

「...俺もですよ?だけど...静かに、帰って欲しいって、言われました」

「そうか」

「何か話しましたか?」

「いや、特には。客が話したがらない時はこっちからは聞かない」

...意図が解らないが、こっちは、よく来たなって感じだったよ。

「...そうですよね。お店のお客さんだから、その応対ですよね」

「...そうだ。今までだってそう。久し振りに来たからといって、特に対応を変えたつもりはない」

...。

「...はぁ...そうなんですよね。陽佑さんはそれでいいんですもんね。
俺、また、失敗しちゃいましたね。梨薫さんの気持ちを推し量って、すごすごと帰って来てしまった。はぁ。そんなんじゃ駄目だったのに...。
...俺、戻ります。入れても貰えないかも知れないけど、迷惑を承知で頑張ってみます」

「あぁ、そうするといい」

...。

「おやすみなさい」

「...あぁ。もう、戻って来るなよ?」

「そのつもりで頑張ります」

忙しいな...行ったり来たり...。有り余る情熱...てところだ。仕事とはまた別の熱だよな。


...だから...面倒臭い事してんじゃないぞって話だ。貰った花を持ったまま...来て。
言いたい事があるなら自分の口で言えよ。
...何ださっきのは。
思わせ振りな態度のつもりか?

思いがあるとして、何でこっち任せなんだ。何で自分は受け身ばっかりなんだよ...。何故、何も言わない。
何だよ...、アプリコットフィズなんか注文して...。知るかよ。
いつも通りモスコミュールにしとけって話だ。

あ゙ー、面倒臭い。言わないから解らないだろうが。
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