烏丸陽佑のユウウツ
「その女性はいくつなんだ?」
「…32だ。で、今日は俺に会いに来たのか?」
「ん?いや、…落ち着かないから来たんだ」
「何に…」
「紫が今夜は務君とご飯だってさ。…最近、多いんだ。務君と出掛けること」
「そんなの普通に許してるんだ。寛大なところを見せたのか。よく…昔の男となんて…しかもあっちは…」
「さらっと言われたら、さらっと聞くだけだ」
「だけど紫ちゃんに気があるって解ってる相手だぞ…前よりもっと理解もある…」
「ああ、ずっと好きだって知ってる。今だって、…いや、あの時だって。紫が素直になっていたらやり直せていたはずなんだ。紫は変に理屈っぽいから、知らなかった関係に戻って始めたらとか、ごちゃごちゃ理屈ばかり…煮え切らない事ばっかり二人はしてたから…。解り合えたんだから戻れていたんだ。
利用したと迄は違うけど、どこかで俺の事で妬かせようとしたのかも知れない。それで務君がどうするかとか試したのかも知れない。勿論、利用とか、試したとか、思っては無いけどな」
「その時、…だから務君にしたって自分から機を逃したって事か」
「多分…チャンスはいくらでもあった。辛い事もあった。彼なりに後悔はしてると思う。だから今は公然とチャンスを狙ってるって訳だ」
「焦っても駄目だし長丁場になりそうだな。あ、俺、別に誰の味方とか、そんなの無いから。今のは一般論として聞いといてよ」
「事が起きる時は一瞬だからな…」
言い方悪かったかな…。
「紫ちゃんは恋愛体質なのかな。こんな聞き方は変か」
また変な事言ったか…。駄目だな今日の俺。
「あっちもこっちも気が多いって?」
「いや。んー、まあ、ずっと恋愛していたいタイプなのかなって。刺激がずっと欲しくて結婚というモノには縛られたくないとかさ」
「どうだろうな…」
「結婚の話はしないのか?」
「…しない…事にしてる。一緒に居る事でいいならそれでいい、から始まってるからな」
「銀士榔は結婚は無くていいのか」
「無くていい。男と女の在り方なんて色々だから。結果、ずっと一緒に居るなら同じだ。寧ろ縛りのない間柄で一生一緒に居られたらその方が素晴らしいよ。…て、いつまで言えてるか解らないけどな」
「まあ…結婚していざ離婚となると中々踏ん切れなくて結局我慢するとも聞くからな」
「それって、嫌でも一緒に居るって事だろ?それってどうなんだ。まあ、なるようにしかならないさ…あ、ごめん。…紫だ」
携帯を出して見ている。
「フ…キャンセルになったから帰るって。相変わらず務君は忙しいらしい。昔…それで不安になったんだから。仕事で云々より、圧倒的に話す事が欠けていた。だから駄目になった…」