烏丸陽佑のユウウツ
…。
【黒埼君が心配している。寒い中、外でずっと待つつもりだろ。勝手と言えば勝手な行動だが、帰る帰らない、連絡くらいしてやったらどうだ】
わざと偉そうにお節介な事をしてみた。こうしておけば、きっと反応するはずだ。俺にではなく、黒埼君にだけ連絡をするだろう。
ブー、…。今日は仕事にならないな。裏に行ったり来たりだ。
【梨薫さんから連絡が来ました。どっか行ってるみたいで、帰るからって】
【そうか、良かったな】
【でも、俺、待ってるなんて連絡してないんですけど】
【梨薫ちゃんの勘が働いたんじゃないのか?駄目だと言ってもまた来るかも知れないってさ。あっさり諦めて来ないっていうのでは駄目だと思い直して来るってね】
梨薫ちゃんは俺からメールがあったなんて言わないはずだから。この嘘はバレない。
【そうかも知れないですね】
【風邪ひくなよ】
【大丈夫です。もう、そう長い時間でもないと思うんで】
…そうだな。
もう一つ、メールをしておく事にした。
「オーナー、お願いします。急に立て込んで来ました」
「はい、直ぐ行く」
こんな調子では示しがつかないな。
【今まで散々誤解させた事があったと思うが、俺は、一、バーテンダーと客の仲だと思っている】
よし、これで終わりだ。中途半端な恋心とはおさらばだ。
「オーナー…」
「悪い、直ぐ行く」
はい、送信。OK、と。