烏丸陽佑のユウウツ


「またうちで一緒にご飯食べる?って言われました」

…あ…はあ?それ、違うんじゃないのか?でもそれだけじゃないよな。

「期待した言葉ではありませんでしたが、翌日というか、また夜ですよね。…待ち遠しくて堪らなかったです。
会社帰りに来てって言われてたから遠慮なく寄りました。
ピンポンしたら、開いてるから入ってって。…全く…物騒ですよね、夜なのに。
開けたらいい匂いがして来ました。丁度出来たところだって、俺の好きな物を色々と作ってくれていました。甘くないケーキも買ってくれてました。
……初めてだったんですよね、大人になって人にそんな風にして貰ったのは…」

んん゛ー…初めてというのは、温かい誕生日を過ごせて幸せだったって、そういう意味だったのか。はぁ……何とも…。

「誕生日なんだからって、暗くしてロウソクの火を吹き消す事、させられてしまいました…恥ずかしいのに。まあ、一気に吹き消しましたけどね」

…フ、勢いだな勢い。間を置くと余計恥ずかしいもんだ。で、仲良くご飯を食べてケーキを食べたって事か。
いい誕生日だったな。

「消したら…当然ですが暗くなってしまって。…そしたら梨薫さんが、俺の頬に…。
梨薫さんの両手が触れて」

は?!…油断した。話は終わりじゃなかったのか?

「…チュッて。…してくれたんです。俺…、想像もしてなくていきなりで、動揺が半端なくて、…こっちからもっとし直そうとか、そんな事考える事も、余裕も全然なくなってて…はぁ。情けないですよね。
ぼーっとなってました。そしたら…透かさず明かりを点けられてしまって。ハハハ…チャンチャン、ですよ。
誕生日だから、プレゼント代わり。って言われて」

…悪魔だな。…はぁ…なんて事を…。それだけなんだろ?…可哀相に…。

「…だから、プレゼントなんだけど…それだけって事なんですよね。
でも、嬉しかった…今まで無かった誕生日だったんです」

俺も悪魔になろうかな…。

「じゃあ、これからは毎年してくれるんじゃないのか?」

…。

「それは…悲しいかもです」

…ん、まあな…。されたとしても色恋とははっきり区別されたキスだもんな。余計な事言ったな。意地悪が過ぎたか。

「でも、もしかしたら…無いより嬉しいかもです」

少し曇らせてしまった顔がまた元に戻ったようだ。

はぁ、そうか…、誕生日を一緒にね…。

「ま、いい誕生日だったな」

「はい。やっぱり事実として、キスされた事はずっと残ってます、嬉しさを引き擦ってますから。はぁ」

ちょっと梨薫ちゃんも狡いけど、良かったな。

一応聞いとくか…。

「それで終わりだったんだ」

「いいえ」

…?!…何ぃ?
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