烏丸陽佑のユウウツ


はぁ…俺って酷い人間かな…。

こんな調子で初日の出を拝んでもな…はぁ。
全く…新年から溜め息ばっかりじゃないか。

…いや。これはこれ。あれはあれだ。頭は切り替えなきゃ駄目だ。


眠る事も無く横になっていると外が明るくなって来た。
日の出の時間か…。

のろのろと起き上がりアラームを解除した。
カーディガンガウンを着て外に出た。

はあぁ、寒…。寒いんだよ…。

…。

段々明るく染まって来る水平線を見て、これが一年の始まりなんだと思った。
既に数時間は過ぎているのだけど。

…。

ぼーっと太陽が昇るのを見ていた。今更眠れもしない。…静かだな…。
このまま近くの神社に初詣でに出掛けようと思った。

財布と携帯をポケットに入れ玄関に向かった。

靴を履きドアを開けた。

…ん?押し開けたドアに何か違和感があるような気がした。

僅かに開けたドアから、はみ出すように紙の袋が下がっているのが見えた。

開けて外に出るとノブに引っ掛けられていた。

…何だろう。また母さんかな。何か布のような物が見えていた。

取って覗き、取り出してみた。…マフラーか?寒いから使えって?今から出掛けようとしている俺に、そこまで気を回されていたら凄過ぎるな…。

出してみると広い…ストールだった。
丸出しのこんな入れ方はプレゼントでもないだろう。多分、使っている物だろう。
…んん。何だ、どういう成り行きで、ここにこんな物を。まだ早い時間だが、心当たりは母親だけだ。

【うちのドアに紙袋、提げたか?中はストールが入ってる袋】

返事は直ぐ来た。どうやら向こうも起きていたらしい。

【私じゃないわ】

そうか…。じゃあ、これは…一体…。気持ちが悪いな…。どこかの別荘と間違えたのか…。

【でも、私のストールかも知れない】

はぁあ?…解るように言ってくれないかな…。

【武下梨薫さんよ】

…は?
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