烏丸陽佑のユウウツ
【今どんな気持ちなのか、今どこに居るのか、そんな事は知らない。
ここに来ていた事も、そのタイミングで会いたいと言って来たのも。
クリスマス、うちの部屋の前に来ていた事も。来てたよな?
いつもと違うカクテルを意味ありげに注文しても。
何一つ、大切な言葉は聞かされていない。それが梨薫ちゃんの中にあるとしたならば、だけどな?
何度もこんな冷たいメールをしているが、待ってみてもメールは全く返って来ない。
だから言っておく。
俺はバーの店主、バーテンダーだ。梨薫ちゃんが言っていた3Bの職業のな。分け隔てなく女性と話し優しくするんだ。
梨薫ちゃんとは、お互いに、都合のいい時に都合のいい関わり方だけをして来たから楽しくいられたんだと思ってるよ。
それが俺と梨薫ちゃんの全てだ】
結婚や自分の幸せを強く願うなら、部長さんや黒埼君がベストだ。思い方、深さが俺とは別格、違い過ぎる。職業を理由に、最初から、出来ること出来ないことがあるんだ。出来ないことばかりだといった方がいい。
俺はもう、そういった事では関わらない。
…まだ解らない、迷ってるなんて状態が続いてるなら、時間を掛ければいいさ。
人をどう好きになるのか、よく考えた方がいい。
【またこのメールに返しはないのかも知れないが、別に構わないから。
何度も繰り返しこっちから一方的な事ばかり言って悪いな。それから俺も曖昧な態度を取ってしまった事もあったと思う、悪かったと思ってる。
ストールは母親に渡したから。
わざわざ遠いところを返しに来てくれて有り難う】
ここに来た目的は、ストールを返す為だったと…すればいい…。
ここに来るまで…まずバーに行き、開いてない事を知って、それから俺の部屋を訪ねた…。
居ない事を確認して…更にここに来た。…そこまでしておきながら…帰るなんて…。
俺の方が長いメールをしてしまったな…。
まあ、仕方ない。本来、面と向かって話しておかなければいけない事でもあるんだ。
だから、もうこれで、思わせ振りな事はしないでくれよ。
お互いの為だ。