烏丸陽佑のユウウツ
殆ど手を付けていないお節料理にお餅。
暇に任せ、一通り作った海老料理。飲み残した酒につまみ。
それぞれ荷造りして夕方には別荘を出た。
元日の道路は空いていた。すいすいと進み、難無く部屋に帰り着いた。
抱えるようにして荷物を持ち、トランクケースを持った。
着替えなんて半分で良かったくらいだな。
マンションの住人も一体どれだけの人が居るんだろう。
まさに今は帰省や旅行の真っ最中だろう。
ま、元日に誰が居ても居なくても顔を合わす訳でもない、普段と何も変わりはないが…。
荷物をしまい、食料を冷蔵庫に入れ…はぁ、これって、場所が変わっただけで同じ事を繰り返してるだけみたいだな…なんて、ちょっと空しくなった。
ブー、ブー、…。梨薫ちゃんだ。…やっと寄越して来たか。
【黙ってストールを置いて来てすみませんでした。馨さんに返して頂いて有り難うございました】
…ぁ、はぁ、…何だ…これ。これだけなのか。
勿論、言ってることに間違いはない。これはこれでいいんだが。
黒埼君と一緒に居るのか。俺がこのくらいに帰って来る事、聞いてたんだろ…。それは、勘繰り過ぎか。
別に…メールのタイミングなんて、いつだっていいんだけど。帰って来るのに合わされた感じがしてならない。
ストールにしたって、別にわざわざ持って来るなら店が開いてる間に言付ければいいのに。会いたくないなら裏のドアに掛けてくれても状況は同じだ。
なんであっちに居る時をわざわざ選んで来たんだよ…。移動だって時期的にも時間的にも普段より大変だっただろうに。
………素では会い辛いから、ストールは口実だったんじゃないのか…?
ブー、…。まただ。
【言い忘れました】
何だよ…。本当、こういうの……わざと意味を持たせようとしてるみたいで…嫌になるよ。やっと長いメールの始まりなのか?…。
ブー。お…。
【明けましておめでとうございます】
あ゛…何だよ…こういう間の取り方が、思わせ振りに近い事だって…解んないでしてるのかね…。
ブー。…。
【心配も迷惑も沢山かけてしまいました。今まで沢山甘えました。何度もメールを貰っても返せなくてすみませんでした】
何だ?…これが本文の始まり、て事か。