艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「なにを今更……。もう遅いですよ、まどかさん。」

大きなため息とともに、頭の上から郁ちゃんの呆れたような声が私に降ってきて、私はさらに小さくなる。

「やっぱり、そうだよね……。本当にごめんなさい」

おもむろに頭をあげながら謝ると、真向かいに座って真っすぐに私を見つめる郁ちゃんと視線が合う。


何秒かの間、私と郁ちゃんが凝視しあう。

郁ちゃんの隣に座っている祥子さんに一瞬に視線を向けると、やれやれという風に困った顔して力なく笑っている。

「まどかさん、私もこの際だからはっきり言わせてください。」

私をしっかりと見て喋る郁ちゃんに、一気に緊張感が増してくる。

私は生唾を飲み込んで、小さく頷く。

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