艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「あっ、まどかちゃん。駒宮室長」

アルコールのおかげでご機嫌な萩原さんが、私たち2人の時間を動かす。


「萩原……」

「萩原さん」


私の隣で、駒宮室長は一瞬にして不愛想な表情に戻ると萩原さんと乾杯をする。


「駒宮室長、そんな怖い顔しないでくださいよ」

萩原さんが苦笑いしながら、肩をわざとらしく竦めてみせる。

「怖い顔なんか、していない」

十分怖かったけどな……。

私は二人のやり取りを楽しく見ながら、グラスに残っていたシャンパンを飲み干す。



「駒宮さん、社長が探されてましたよ」

「すぐに行きます。2人とも、じゃあ」

社長秘書の男性に急に声をかけられた駒宮室長は、足早に社長秘書の男性とステージの方へ向かって歩いて行ってしまったすぐに人ごみの中に紛れて見えなくなったというのに、私はそちらの方をずっと見つめたまま。

「もう、2人とも分かりやすいよね」


そんな私の様子を呆れたように萩原さんが笑い飛ばしたのだった。
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