夕日の中の思いを君に伝えたくて
「はぁ…はぁっ…ごめん…なさいっ…」

私はそれを思い出し、過呼吸になる。まだダメなんだ。そりゃそうだよね、人を殺した私のことなんか許してくれるはずもない。
お兄ちゃんは今だに意識不明でずっと病院にいる。意識が戻るのはほぼ0%に等しいらしい。でも、お母さんがお兄ちゃんが死ぬっていう現実を受け入れたくないのと1%でも希望があるならそれにかけたい、と言ってお兄ちゃんは今も眠っている。

「生き返るわけないじゃん、お兄ちゃん殺しちゃったんだもん」

私はカーテンを閉め、夕飯を食べる元気もなく、かといってまた寝るのもできなかったためおじいさんの所に行くことにした。

「おじいさん、土日来れなくてごめんね」

「君はもうここへ来てはいけないよ…今日学校で暴れてしまったんだってね。話しているのを聞いたよ。君は誰かのために暴力をしすぎて有名になってしまった。もっと自分に甘くなっていい、自分のために力を使いなさい」

「でも、おじいさん明日からどうするの?」

「私はね、そろそろ別の街に行こうと思ってたんだよ、戦争の話も全部終わったし通りすがりのおばあさんとその子供がね、一緒に住もうと言ってくれたんだ。最近の世の中はみんないい人ばかりだよ…君みたいにね。だからもう、幸せになりなさい」

私はどうしたらいいか分からなかった。おじいさんが家で暮らせて、やっと幸せになれるという安心感と私の居場所がなくなったような不安感でいっぱいだった






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