番犬男子




これなら少し腕を動かせば、容易にロープから腕を抜き出せる。



あとは、2人の意識をあたしからそらす方法、か。


一応、アイデアはあるんだけど、古典的すぎて、これだけでは微妙なんだよなぁ。




悩みながらも、あたしは拘束をほどき始めた。


ゴソゴソ腕を動かしていたら、何かしているとバレてしまうかもしれない。



ここでも意識をそらしておいたほうがいいよね?


どうしよう。


何かいいアイデアないかな。

何か、何か……。




「そう怖がんなって」


「え?」



唐突に強盗犯に話しかけられ、さらには内容が意味不明で、聞き返さずにはいられなかった。



あたしの悩む姿が、強盗犯には怖がっているように映ったのか?


だとしたら、都合のいい目だね。


一度眼科に行くことをおすすめするよ。



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