番犬男子
「双雷がここに来てからが、本当の恐怖の始まりなんだからな」
それであたしを脅迫してるつもりなのか、こいつは。
何が、本当の恐怖の始まり、だ。
あたしがこんな茶番に付き合うわけないでしょ。
第一、双雷……いや、お兄ちゃんが、あたしを助けに来るとはどうしても考えられない。
お兄ちゃんはあたしが拉致られたと知っても、厄介ごとが増えて迷惑だ、くらいにしか思わないんだろうな。
昨日の今日で、お兄ちゃんがあたしを受け入れられてるはずがないって、わかってる。
血の繋がった兄妹なんだもん。
あたし、ちゃんとわかってるんだよ、お兄ちゃん。