番犬男子






……ちょっと待てよ?



この、一見強盗犯が上から目線に話してるだけのくっだらない会話は、利用価値があるかもしれない。


うまくいけば、意識をそらし、ロープをほどいて。

なおかつ、情報を得られる。



あたしは早速、強盗犯に尋ねた。



「双雷が来るって……いつの間に双雷を呼んだの?」


「さっき、双雷の照本幸汰がいただろ?」



幸汰が、いた……?


さっきっていつ?




「きっと今頃あいつ、お前が連れ去られたーって、双雷の連中を引き連れて探し回ってるぜ?」



強盗犯が、余裕そうに嘲笑う。




そういえば、意識を失う寸前、幸汰の声が聞こえた気がした。


あれは、空耳じゃなかったの?




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