番犬男子
今のところ、お兄ちゃんに媚びるメス豚はゼロ。
よし、お兄ちゃんの貞操は守られてる!
……ただ、
「総長!」
「なんだ」
どっかの女子よりも強敵な“番犬”が、お兄ちゃんの隣という、極上で特別なポジションにしれっと携えてることに、嫉妬しか湧いてこない。
妹のあたしを差し置いて、何食わぬ顔でお兄ちゃんの隣をキープしてるなんて。
すっっごくムカつく!
「魁皇の件もありますし、念のため路地裏を注意深く見ておいたほうがいいかと思います」
「ああ、そうだな」
距離的に、2人がそんな会話をしているとは知る由もなく。
「ちょっとあれ、近すぎじゃない!?」
「千果、声でかすぎ!」
看板に爪を立て幸汰を妬むあたしに、遊馬が「しーっ!」と口元に人差し指を添えた。
あたしは慌てて口を抑え、こくこく頭を縦に振る。