番犬男子
だが、遊馬は気にせず続ける。
「あいつ言ってたぜ?番犬を前にして逃げずに睨み返してきた女はお前が初めてだったから正直びっくりした、って」
「それのどこが、さっきのと繋がるの」
好きになったとは言ってないじゃん。
あたしはあの時、睨まれたから睨み返したってだけ。
第一、好きになる要素なんかどこにもないし、あたしもあいつが苦手だ。
「あたし、あいつに『容赦しねぇよ?』って脅されたんだよ?」
「まあ、番犬としてはまだ警戒を解いてねぇかもしんねぇけどさ。あいつはあいつなりにお前のこと気に入ってると思うぜ?」
いつ、どこを気に入ったの?
意味わかんない。
小首を傾げたあたしの頭を、遊馬は甘やかすようにわしゃわしゃ撫でた。
「男っつーのはな、“初めて”に弱ぇ生き物なんだよ」
それが事実であっても、いまいち受け入れられない。
あの幸汰が、あたしを?
ありえない。
幸汰はあたしの存在を怪しんで、いつも監視に近い視線であたしを射抜いてる。
なのに、気に入られてるだなんて、どうしても思えない。
あたしも、幸汰も、お互いに好意はない。